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読書感想文2019 part 1

「読書感想文2019」 part1は、1月〜2月の読書録です。

 ↓ Click NOVEL mark !
コメント  キャロリング (有川 浩著、幻冬舎文庫)   作品の紹介 

母の親友である西山英代の経営する子ども服メーカーで学生のころからアルバイト
として働き、そのまま就職した大和俊介、32歳。 同僚の柊子と結婚を考えたが、
絶縁状態にある大和の両親に対する考えの違いがきっかけで、別れてしまう。
そして、柊子への思いを残したまま、会社の倒産が決まる、、、。
会社がなくなるクリスマスに向けて、カウントダウンが始まったある日、柊子が
会社のもうひとつの事業である学童保育サービスに通う小学6年生の航平から別居中
の父親に会いに行くのに付き添ってほしいと頼まれる。
母がハワイ赴任することになり、航平は両親が復縁し、共にハワイで暮らしたいと
父に思いをぶつけるが、父はとりあってくれない。
やがて、航平の父が勤める整骨院の地上げを企む闇金が航平に目をつけ、誘拐。
航平の母に身代金3,000万を要求する。 大和は、航平とともに誘拐された柊子、
そして航平の父を救うべく、闇金のもとへ向かう、、、。
おもしろかったけど、この著者ならもっとすごいお話にできたんじゃないかと思った
のも事実。 オススメ度:8
コメント   (三浦 しをん著、集英社文庫)   作品の紹介 

美浜島という離島の中学二年生、信之。 同級生の彼女、美花、遠縁の小学五年生、
輔(たすく)とともに平和に暮らしていた。 しかし、大地震による津波で島は壊滅。
信之と美花は家族を失うが、輔を虐待する父は奇跡的に生きのびる。
津波の余韻が残る中、島に撮影に来ていたカメラマン山中が美花をレイプしようとする
のを見つけた信之は山中を殺害。 輔は現場を目撃する。 信之の殺人は露見すること
なく、三人は島を出て離ればなれとなる、、、。
20年後。 信之が自分より幸せに暮らしていることを知った輔は、信之の妻、南海子に
近づき、関係を結ぶ。 さらに、山中の殺害をネタに信之を恐喝する。
まもなく、音信不通だった輔の父が輔の元を訪れ、人気女優となった美花も恐喝する。
美花は信之に始末を依頼。 信之は輔に金を渡す。 やがて、酒に溺れた輔の父が死亡。
信之は、この世で山中殺害を知る唯一の人間となった輔の殺害を考える、、、。
著者の名前を隠されてこの作品を読んだら、三浦しをんさんのものとは思わないかも。
残酷さ、暴力が容赦なく描写されているが、巧みに作品に組み込み、リーダビリティー
を確保。 筆力の成せる技か。 オススメ度:8.2
コメント  虹の岬の喫茶店 (森沢 明夫著、幻冬舎文庫)   作品の紹介 

計六編を収録した、連作短編集の体裁をとった作品。
富士山が見える岬にひっそりと佇む岬カフェ。 オーナーは、柏木悦子。
元ピアニスト。 30年以上前に画家だった夫に先立たれ、夫の残した虹の絵を眺め
ながら、ゆったりとした時の流れの中を生きている。
そんな悦子を気遣う41歳の甥、浩司は、仕事の合間に夢だったライブハウスを独力
で建てている。
最初の四編が岬カフェを訪れる男たちのお話。
妻に先立たれた男、就活がうまくいかない学生、事業に失敗した男、長年勤めた会社
から子会社に出向する男。 人生に失望しかかった男たちが悦子の自然体の生き方に
心をほぐされ、再起をめざしていく、、、。
五編目が浩治の物語。 最終話が悦子の物語。
人に勧めたくなる、心洗われるような作品。 著者の代表作「夏美のホタル」でもそう
だったけど、ひとのやさしさ、まっすぐな心根の描き方が秀逸。
オススメ度:8.3
コメント  迷える空港 (新野 剛志著、文春文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「迷える空港 あぽやん3」。 好評「あぽやん」シリーズの第三作。
遠藤が勤める大航ツーリストの親会社、大日本航空が会社更生法を申請。 3月末で
成田空港所を閉鎖し、業務を大航エアポートサービスに委託することが決まる。
恋人の森尾とともに3月末まで全力で仕事をしようと奮闘する遠藤。 しかし、大日本
航空から大航エアポートサービスに出向で着任した部長の星名と衝突し、心のバランス
を崩す。 出社できなくなった遠藤は長期休暇を余儀なくされる、、、。
一ヶ月のブランクの後、仕事に復帰した遠藤は、4月以降のお客様へのサービス維持を
図るべく、全力疾走を開始する、、、。
本作は6編の連作短編集の体裁。 最初と最後の2編が遠藤の離脱と復帰の物語。
残りの4編は、遠藤の周囲の人物にフォーカスしたお話。 少し意外な構成だったけど、
シリーズ全体に改めて深みを持たせることに成功した試みという印象。
これでシリーズ完結なのか、続編があるのかわからないけど、リーダビリティーの高い
ユニークなお仕事小説だと思う。
第一作のブックレビューはこちら。  第二作のブックレビューはこちら
オススメ度:8.2
コメント  書店ガール 4 (碧野 圭著、PHP文芸文庫)   作品の紹介 

人気シリーズの第4作。 正式タイトルは「書店ガール4 パンと就活」。
第三作までの主人公の二人、理子と亜紀がほとんど登場しない意外な構成。
理子が店長を務める吉祥寺の「新興堂書店」アルバイト、高梨愛奈は20歳の大学生。
書店への就職を考えているが、就職活動を控え、友人たちとのギャップを感じている。
愛奈の友人で、駅ビル書店の契約社員、宮崎彩加は24歳。 書店員歴4年。
正社員登用ともに、新規出店する駅ナカの取手店の店長として異動することに。
本をこよなく愛する愛奈と彩加、二人の女性が新しい世界に踏み出すプロセスを巧み
に描いた成長ストーリー。
理子と亜紀が出てこないこともあったが、物語としてややパワー不足の印象。
第3作のブックレビューはこちら。  オススメ度:8
コメント  スコーレNo.4 (宮下 奈都著、光文社文庫)   作品の紹介 

「No.1」から「No.4」の四章だての作品。 骨董品店の三人姉妹の長女として
生まれた麻子の成長ストーリー。
「No.1」は麻子が中学一年のときのお話。 一歳違いの妹、七葉との親密な関係、
同級生への淡い片思いを描いている。 「No.2」は高校生になった麻子のいとこの
愼への想いが綴られた物語。 しかし、七葉も愼が好きで、麻子との関係も崩れて
しまう。 「No.3」。 大学入学を機に家を出て一人暮らしを始めた麻子は就活と
恋に悩む。 貿易商社に就職するも、いきなり高級靴店に二年間の出向。 販売の
仕事に悩み、恋人とも別れるが、やがて仕事で成果を出し始める。 「No.4」は
出向を終えて本社勤務となった24歳の麻子を描いている。 失敗続きだった麻子が
靴の買い付けでヨーロッパ出張を命じられ、同行した他部署の男性と恋に落ちる。
「スコーレ」とはスクールの語源となったことばで「真理探究のための空間的場所」
という意味もあるとのこと(文庫版の解説より)。
宮下奈都さんの作品は初めて読んだけど、独特の世界観が作品全体をふわりと包んで
いて、ていねいな描写にも好感が持てた。 読者は主人公、麻子を見守りながら、
読み進めるうちにどっぷりと感情移入していくに違いない。
オススメ度:8.2
コメント  どうで死ぬ身の一踊り (西村 賢太著、講談社文庫)   作品の紹介 

大正時代に小説「根津權現裏」を評価されながらも、最後は公園で凍死という非業の
死を遂げた藤澤清造。 清造の作品、そして生き方に心酔したひとりの男がやがて
清造の遺作、書簡などの収集に没頭し始める。 ついには清造の故郷で墓のある寺を
訪れ、寺の片隅に放置されていたかつての墓まで手に入れる。
男は、やがてひとりの女と同棲を始め、清造の全集刊行を決意する。
清造にまつわる収集は進むが、女の実家から借金をするばかりか、女に暴力をふるい
始める、、、、、、。 
藤澤清造に心酔したひとりの男の狂気の物語。 破滅的な生き方しかできない主人公
を客観的にみつめ、物語として堪能するか、男に感情移入できないまま読了するか、
評価が分かれる作品だと思う。 劇薬のような傑作であるとは思うが、私は感情移入
できないまま読了したひとり。
2009年度「本の雑誌」文庫 総合:第1位。 2006年「芥川賞」、「三島由紀夫賞」
候補作品。 オススメ度:8
コメント  鎮火報 (日明 恩著、双葉文庫)   作品の紹介 

赤羽台消防出張所 警防第一係、入庁一年半の新米消防士、20歳の大山雄大。
高校のころは親友、裕二とグレていたが、消防士だった父が命を救った先輩
消防士、仁藤の「消防士になれるもんならなってみろ」のひとことに奮起。
消防士になった今も、仁藤に見守られながら、9時〜5時勤務の事務職への異動
を夢見て仕事に励んでいる。
ある日、雄大は不法滞在の外国人が住むアパートの消火に出動。 しかし、水を
かけたら炎が広がるという不可思議な現象を目の当たりにする。 この火事で
外国人たちのリーダーの男が焼死する。 やがて雄大は、知人で初老のひきこもり、
守から、警察が外国人の滞在の摘発をした場所で天井裏から出火した放火が四件
続いていたことを知る。 その直後、非番の日に偶然、同様の火災に遭遇する。
守は消防や警察のネットワークに侵入し、調書から出火の原因を探り当てる。
さらに守は放火の容疑者まであたりをつけ、次の犯行現場を雄大に知らせる。
犯行現場に急行した非番の雄大は、放火犯を確認するが、、、。
消防士を取り扱っためずらしいお仕事小説。 青春×消防ミステリー的なテイスト。
550ページの大作。 登場人物の人物造形もナイス。 消防士の仕事、不法滞在者
の実情、課題もていねいに書かれている。 オススメ度:8.1
コメント  ほら吹き茂平 (宇江佐 真理著、祥伝社文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「ほら吹き茂平 なくて七癖 あって四十八癖」。
表題作を含む計六編を収録した人情話の短編集。
深川で暮らす大工の棟梁、茂平は五人の職人と見習いを抱えている。 五十歳を境に
現場から手を引き、今は見回りくらいしかすることのない隠居同然の身の上。
人をだます気はさらさらないが、お愛想や冗談が高じて「ほら」ととられ、いつの
ころからか「ほらふき茂平」と呼ばれるようになった。 ある日、茂平は昔からの
馴染みに小さな仕事を頼まれる。 職人の頭をつとめる息子の小平治に職人をまわす
ように頼むが、言うことを聞かない。 それを見かねた小平治の女房、お久が亭主に
内緒で、舅、茂平の手伝いを始めるが、小平治にばれる。 派手な夫婦喧嘩をおさめた
のは、茂平ではなく、女房のお春の「ほら」だった、、、。
表題作は、笑いあり涙ありの、そのまま落語にでもできそうなお話。
他の五編もハイレベルな人情話がずらりと並ぶ。 著者のファンならまちがいなく買い
の一作。 オススメ度:8.2

コメント  お文の影 (宮部 みゆき著、角川文庫)   作品の紹介 

ふしぎな話、怪異な話、計六編を収録した時代小説短編集。
表題作をはじめ、ハイレベルな作品がずらりと並ぶ傑作。
ミステリー、人情話としても、読み応え十分。
個人的には冒頭の「坊主の壺」がお気に入り。
群を抜くリーダビリティー、独創的な発想で読者を作品に深く誘い込む。
「ぼんくら」、「おそろし」など著者の名作に登場したキャラクターも登場。
オススメ度:8.3
コメント   (夢枕 獏著、角川文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「秘帖・源氏物語 翁−OKINA」。
光の君、22歳。 妻、葵の上、26歳。 夫婦となって九年目にようやく懐妊した矢先、
葵の上に妖が取り憑く。 高僧の祈祷でも妖をはらうことができず、光の君は法師陰陽
師、蘆屋道満に調伏を依頼する。 光の君は妖の正体をかつて愛した六条御息所の生霊
とあたりをつけるが、葵の上にとりついたのは彼女だけではなかった。 光の君と道満
は、妖の正体をつきとめる旅が始まる、、、。
やがて光の君は謎の核心にたどり着くが、それは驚きの結末だった、、、。
夢枕獏流のふしぎに満ちたもうひとつの源氏物語。 著者のファンには読み応えたっぷり
の一作だと思う。 けど、後半の宗教の話がちょっと複雑すぎるかなという印象。
オススメ度:8.1

コメント  ええもんひとつ (山本 兼一著、文春文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「ええもんひとつ とびきり屋見立て帖」。 シリーズ第二作。
表題作を含む六作を収録。
京の老舗の茶道具屋「からふね屋」の娘、ゆずと二番番頭だった真之介が駆け落ち
同然で夫婦になり、開いた道具屋「とびきり屋」が舞台の人情話。
第一作同様、リーダビリティーが秀逸。 まっすぐな心の主人公夫婦にも好感が持て、
感情移入しやすい。 第三作にも期待。
第一作のブックレビューはこちら。  オススメ度:8.2
コメント  鬼が笑う (小松 エメル著、ポプラ文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「一鬼夜行 鬼が笑う」。 「一鬼夜行」シリーズ第六作。
第一部の完結編。
小春と猫股の長者、義光の戦いが迫る中、喜蔵は、妖怪、五十鈴の道案内で「もの
のけ道」を進み、小春のもとへ向かう。 しかし、五十鈴とはぐれ、七十年以上前
の時代に迷い込み、喜蔵とうりふたつの曾祖父、逸馬に出会う。 逸馬は御家人
だったが、親友の清十郎にだまされ、町民に落ちていた。 そして、いなくなった
飼い猫、小春をけんめいに探していた。
一方、いなくなった喜蔵を探しに出た妹の深雪は、天狗に喜蔵の元へ連れていって
くれるように頼む。
逸馬の問題を解決した喜蔵は、猫又の長者と小春の決戦の地へ向かう、、、。
喜蔵と小春、逸馬と清十郎をはじめ、人と人の繋がり、想いを巧みに描いた巻。
第四作のブックレビューはこちら。  オススメ度:8.1
コメント  鬼の福招き (小松 エメル著、ポプラ文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「一鬼夜行 鬼の福招き」。 「一鬼夜行」シリーズ第八作。
第二部の第一作、開幕編。
猫又の長者との戦いで妖怪としての力をほとんど失った小春は、喜蔵のもとで
またもや居候生活を始める。 戦いの傷が癒えた小春は「妖怪相談処」の看板を
掲げ、妖怪たちの相談に乗り始める。 あまりの繁盛ぶりに喜蔵が問題解決に
巻き込まれることも。 しかし、繁盛は、招き猫、小梅の存在が原因だった、、、。
やがて小梅の秘密が明かされる、、、。
第一部の完結編と比べると、話のスケールが小さい印象。 妖力を失くした小春
の今後が気になるところ。 オススメ度:8
コメント  鬼姫と流れる星々 (小松 エメル著、ポプラ文庫)   作品の紹介 

正式タイトルは「一鬼夜行 鬼姫と流れる星々」。 「一鬼夜行」シリーズ第九作。
第二部の第二作。
小春が「妖怪相談処」を開いてから早ふた月。 三十三年に一度開催される天下一の
天狗を決める大会を前に疾風という若い天狗が小春に弟子入りする。
小春と喜蔵も大会に出かけるが、喜蔵の妹、深雪が大会に出場しているのを見て驚愕
する。 深雪は小春の宿敵、花信の代理として出場していた。 疾風と深雪が勝ち
進み、疾風と花信、そして花信の師、平野、異端の天狗、初瀬との意外な関係が明らか
になる、、、。
よく練られた話の構成。 登場人物たちが生き生きしていた。 オススメ度:8.1
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