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読書感想文2018 part 6
「読書感想文2018」 part6は、11月〜12月の読書録です。
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スウィングガールズ (矢口 史靖著、メディアファクトリー)
作品の紹介
東北の山奥の山河高校1年生の女子16人と吹奏楽部の男子1人は、食中毒で
倒れた吹奏楽部の代わりをつとめるため、ビッグバンドを結成。 なんとかもの
になりかけたものの、演奏本番前日、吹奏楽部が復帰。 バンドは解散する。
しかし、演奏の魅力にとりつかれた友子たち6人の女子と吹奏楽部を辞めた男子、
拓雄の7人はジャズバンド「スウィングガールズ」を結成。 高校の数学教師、小澤
に指導を依頼する。 しかし、小澤はただのジャズおたくで演奏などできなかった。
小澤はバンドのメンバーには内緒で音楽教室に通い始め、サックスを学ぶ。
小澤の指導を受け、スウィングガールズは地元のスーパーでライブを実施。
すると、友子たちのバンドに加わらなかったビッグバンドの残りのメンバー10人も
スウィングガールズに参加、17人のビッグバンドが再び始動する。
小澤の指導のもと、メンバーは練習を重ね、市主催の「学生音楽祭」に応募する
ことに。 しかし、友子が応募を忘れエントリーが遅れたため、参加できなくなる。
友子は音楽祭に出場できなくなったことをメンバーに伝えることができないまま、
当日を迎える。 何も知らないまま音楽祭の会場に向かうメンバーたち。
すると、スウィングガールズたちに奇跡が起こる、、、。
スウィングガールズたちの明るさ、まっすぐさに救われ、応援したくなる作品。
コメディータッチで描かれているものの、友子たちがジャズの魅力にとりつかれて
いく描写は秀逸。 話のテンポもよく、キャラクター造形もグッド。
2004年映画化。 オススメ度:8.2
図書館の神様 (瀬尾 まいこ著、ちくま文庫)
作品の紹介
中編の表題作と短編一編(「雲行き」)を収録。
早川 清(きよ)、22歳。 海の見える高校で国語の講師として働いている。
ケーキ店を営む浅見と不倫関係にある。 中学、高校とバレーボール一筋だった
清は、同級生の自殺を機にバレーと縁を切り、実家から離れた大学に進んだ。
本も読まない国語の教師である清は、部員が一人の文芸部の顧問となる。
唯一の部員である3年生の垣内君は、清を立てつつも、やれやれといった感じで
清のめんどうを見てくれている。 清の一歳下の弟、大学生の拓実は、海が好き
で、毎週のように清の部屋に泊まりに来る。 やがて、高校教員の採用試験に合格
した清は、新たな勤務先が決まり、卒業する垣内君を見送る、、、。
登場人物が少なく、大きな事件が起こるわけではないけど、独特の雰囲気を持ち、
リーダビリティーにすぐれた作品。 垣内君と拓実がいい味を出していた。
オススメ度:8.1
ヴルスト!ヴルスト!ヴルスト! (原 宏一著、光文社文庫)
作品の紹介
東京、高田馬場駅から徒歩20分。 一年後に取り壊しが決まっている古いアパート
「かなめ荘」に格安家賃で越してきたふたりの男。
ひとりは19歳の勇人。 高校中退後、中華料理店で二年半働くも、人生初の彼女が
勇人と大学生の二股をかけていたことが発覚。 このことが原因で、大学受験資格
取得に向けた猛勉強の場所として「かなめ荘」を選ぶ。
もう一人の住人は59歳の伸太郎。 髭面ゆえ、通称は髭太郎。 証券会社でファンド
マネージャーを務めていたがリストラされ、個人ファンドを立ち上げるも失敗。
妻と娘は彼の元を去る。 今は亡き妻に後悔の念を抱えつつ、ドイツのソーセージ
「ヴルスト」づくりを「かなめ荘」でスタートさせる。
やがて、髭太郎が勇人をヴルストづくりに引きこみ、数々の試作、食べ歩きなどの
試行錯誤を繰り返す。 髭太郎のペースに巻き込まれながらも、勇人の勉強の効率も
上がり、合格圏内が見え始める。 そしてついにヴルストに最適の究極の豚肉を生産
する「飛田豚牧場」にたどりつく。 二人はさらなる試行錯誤の末、飛田豚牧場の
経営者に自信作のヴルストを試食してもらうが、返ってきた答えは「本場ドイツで
ヴルストを食べてこい」のひとことだった。
そして二人は一週間、ドイツでヴルスト漬けの日々を送る。 旅の途中、勇人は、
フランクフルトでパン屋を営む髭太郎の娘、早苗を髭太郎に会わせようと画策するが
「まだ会う資格がない」と髭太郎に再会を拒まれる。
ドイツでヴルストの本質をつかんだ髭太郎は、より良質のヴルストづくりに成功するが、
乗り越えなくてはならない難題が次々と襲い掛かる。 そして、勇人の最終試験の日
も近づいていた、、、、、、。
安定感があり、安心して読める著者の作品の中でも上位にランクインするであろう一作。
「ヤッさん」、「握る男」、「佳代のキッチン」など「食」にまつわる小説が多い著者
ならではの「食」への造詣、愛も伝わってきた。
2017年度「本の雑誌」文庫「エンターテインメント部門」:第6位。
オススメ度:8.2
月と蟹 (道尾 秀介著、文春文庫)
作品の紹介
父の会社が倒産し、湘南に住む祖父のもとに家族で身を寄せたのもつかのま、
慎一はガンで父を失う。 祖父は十年前、大学の研究者の女性を船に乗せた
とき、衝突事故に巻き込まれ、研究者の女性は死亡、祖父も左足を失う。
祖父の船に乗っていた女性の娘、鳴海は、今や、慎一のクラスメイト。
小学5年生になった慎一は、唯一の親友の春也と放課後を過ごすことが日課
だったが、そこに鳴海が加わる。 同じころ、慎一の母が鳴海の父と交際して
いることを知る。 やがて、慎一と春也、慎一と鳴海、慎一と母の関係が少し
ずつ変わり始める、、、、、、。
全編曇り空のような作品。 幸せな人が一人も出てこない。
2011年「直木賞」受賞作。 個人的には直木賞と芥川賞の真ん中みたいなテイ
ストかなという印象。 オススメ度:8
プラージュ (誉田 哲也著、幻冬舎文庫)
作品の紹介
旅行代理店勤務の貴生、30歳。 成績も上がらず、むしゃくしゃしている時に酩酊して
覚せい剤をたった一度だけ使用。 逮捕され、執行猶予がついたものの、アパート
が火事に。 保護司の紹介で何とか見つかったのは「プラージュ」というカフェの2階
のシェアハウス。 「プラージュ」のオーナー兼大家の潤子も含め、男性3人、女性3人
との共同生活が始まる。
貴生は経験のある旅行業界の営業職で再就職を試みるものの、身分照会で前科が
ばれて全滅。 「プラージュ」でバイトをしながら、他の業界で職を探すがうまくいかない。
一方、謎につつまれた同居人たちの過去が徐々に明らかになっていく。 恋人のため
とはいえコカイン所持で執行猶予中の女性。 過剰防衛とはいえ、殺人を犯した男性が
一人、女性が一人。 一審で殺人罪となったものの、二審で無罪となった冤罪の男性。
そして、その男性を有罪だと信じて疑わないジャーナリストの男性。
やがて、住人の女性が誘拐、拉致され、男性住人たちが救出に向かうが、、、。
最後のどんでん返しはご愛敬としても、物語の設定が新鮮で、リーダビリティーも秀逸。
それと前科を持つ人たちを描いているにも関わらず ― 再犯率の高そうな人は「プラー
ジュ」の住人になれないというルールがあるにせよ ― 悪人っぽい人が誰も出てこな
かったことも、この物語のユニークな世界観を形作っていたのかなという印象。
ちなみに「プラージュ」とはフランス語で「海辺」の意味。 海と陸との境界線。 転じて、
善と悪、真実と嘘。 愛と憎しみ。 そして、罪と許しの境界線。
2017年WOWOWでドラマ化。 オススメ度:8.2
チア男子!! (朝井 リョウ著、集英社文庫)
作品の紹介
道場の長男として、姉と共に子どもの頃から柔道を続けてきた大学1年の晴希。
肩の怪我をきっかけに柔道をやめようと思った矢先、柔道仲間で大親友の一馬から
男子だけのチアチームをつくろうと誘われる。 二人で5人のメンバーを集め、まずは
7人のメンバーでスタート。 学園祭でのパフォーマンスを呼び水にして、さらに
9人の仲間とコーチが加わり、「BREAKERS」として本格的に始動する。
チームは神奈川県予選を突破し、全国大会への出場をめざし、猛練習を開始。
小さな衝突を繰り返しながらも、チームワークを強め、レベルをどんどん上げていく。
著者の代表作「桐島、部活やめるってよ」、「何者」とは正反対の世界観。
直球の青春小説の本作が「桐島」に続くデビュー二作目だと聞いてびっくり。
それにしても、主役の二人(晴希と一馬)より脇役たちの方が目立ってたと思う読者
も多いのでは? ていうか、チームが主役か!? オススメ度:8.2
チョコレートビースト (加藤 実秋著、集英社文庫)
作品の紹介
「インディゴの夜」シリーズの第二作。 計4編を収録した連作短編集。
DJやダンサーのホストがクラブみたいなハコで相手をしてくれる渋谷のホスト
クラブ「club indigo」を舞台にしたストリート系ミステリー。
第一作のオリジナリティー、ドライブ感、リーダビリティーは健在。
このシリーズは中毒性が強いかもしれない。
第一作のブックレビューはこちら。
オススメ度:8.2
ホワイトクロウ (加藤 実秋著、集英社文庫)
作品の紹介
「インディゴの夜」シリーズの第三作。 計4編を収録した連作短編集。
第一作、第二作とは違って、4編中3編が人気ホストの一人ひとりにフォーカス
したお話。 残りの1編はいつものindigoメンバー全員出動の事件解決型のお話。
晶オーナーの出番は少なかったけど、新鮮な感じの巻。 4編のゆるい繋がりも
ナイスな演出。 オススメ度:8.2
サイン会はいかが? (大崎 梢著、創元推理文庫)
作品の紹介
「成風堂書店事件メモ」シリーズの第三作。
駅ビルの六階にある中堅書店「成風堂」を舞台に、24歳の書店員、杏子と21歳の
推理力ばつぐんの大学生アルバイト、多絵が、次々と謎に取り組む書店を舞台
にしたミステリー。 書店員の経験が長かった著者ならではの書店員のリアルな
描写も読みどころ。 書店好きの人に捧げる一冊。
第一作のレビューはこちら。 オススメ度:8.1
金曜日の本屋さん 夏とサイダー (名取 佐和子著、ハルキ文庫)
作品の紹介
「金曜日の本屋さん」シリーズ第二作。
読みたい本が見つかると評判の北関東の駅ナカ書店、金曜堂。
大学生の倉井は、店長の南に助けられ、惹かれ、アルバイトとして働いている。
店長の南、オーナーのヤス、喫茶担当の栖川は地元、野原高校の「読書同好会」
の同級生。 今は亡き同好会の仲間ジンを想って働いている。
第二作は、読書同好会の顧問、音羽や駅前でベーカリーを営む早生夫妻など登場
人物に広がりを持たせ、作品の世界を広げることに成功。
倉井の嫉妬の対象である、8年前に20歳でこの世を去ったジンの秘密も徐々に明らか
になり、、、。 第一作よりパワーアップした感のある巻。
第一作のレビューはこちら。 オススメ度:8.1
侵食捜査 (安東 能明著、祥伝社文庫)
作品の紹介
赤羽中央署の生活安全課係長の警部補、疋田は荒川赤水門で短大生の水死体を引き
上げる。 捜査を進めるうちに、被害者が美容整形をうけたことが判明。 さらに手術を
行った医師、同じ医師から手術を受けた元看護師、被害者の母親が四年前に埼玉の病院
で起きた患者取り違え事件の関係者であることがわかる、、、。
著者らしい精緻な組み立て。 リーダビリティーも高かったのだけれども、話がやや複雑
すぎたかも。 オススメ度:8.1
広域指定 (安東 能明著、新潮文庫)
作品の紹介
「撃てない警官」に始まる柴崎警部シリーズの第四作。
9歳の女子が帰宅しないとの一報を受け、綾瀬署は刑事課を中心に捜査を開始。
しかし、行方がわからず、身代金の要求もない中、警視庁 捜査一課が綾瀬署に
乗り込み、独自に捜査を始める。 捜査一課は、かつて千葉で幼女を誘拐し殺害
したと逮捕されたもの証拠不十分で無罪となった容疑者を集中してマーク。
しかし、逮捕はおろか、任意同行にも至らない。 業を煮やしたキャリアの警視、
綾瀬署署長、坂元真紀は本庁の刑事部長に直談判する。 ようやく千葉県警から
容疑者がかつて逮捕された際の資料が届くが、捜査一課は調べようともしない。
やがて、柴崎はその資料から事件解決につながる情報を見つけ、続いて綾瀬署
の若手刑事も重要な証言を得る。 ここにきて、独断で捜査を進めていた捜査
一課も坂元以下綾瀬署と協力して捜査を進めることを決断。 事件は意外な結末
に向けて一気に動き出す、、、、、、。
安定感のある仕上がり。 リーダビリティーも高く、一気読み。
第三作のレビューはこちら。
オススメ度:8.1
光秀の定理 (垣根 涼介著、角川文庫)
作品の紹介
1560年の京。 細川藤孝に仕える明智光秀は33歳。 ある夜、二十歳の兵法者、新九郎
と辻博打を行う僧、愚息と出会う。 光秀は藤孝とともに二人との交流を続ける。
やがて足利十三代将軍、義照がが松永久秀、三好三人衆に討たれ、光秀は軟禁されて
いた足利義秋を救出。 新九郎と愚息も光秀に助勢する。 光秀は義秋を将軍にすべく、
工作を始める。 その後、信長に破格の厚遇で迎え入れられた光秀は、六角氏攻めの初陣
で長光寺城攻めを命じられる。 光秀は、戦を見物に来ていた愚息の策に従い、無傷で城
を陥す。 この働きをきっかけに光秀は織田家中で比類なき栄達を遂げる。
しかし、信長が天下統一した後の世の中に疑問を持ち始める、、、、、、。
新九郎と愚息という二人の男を通して、才能に溢れながらも、自らの血に縛られ、人生を
腹の底から愉しめなかった光秀の苦悩を描いた佳作。 光秀の非凡さと人間らしさを冷静
にとらえた視点に好感を持った。 著者初の歴史小説。 オススメ度:8.2
高砂 (宇江佐 真理著、祥伝社文庫)
作品の紹介
正式タイトルは「高砂 なくて七癖 あって四十八癖」。
江戸 日本橋堀留町の会所の管理人、又兵衛、おいせ。 55歳の又兵衛と50歳の
おいせは籍を入れていない夫婦。 材木の仲買人だった又兵衛は三度の離縁、
おいせは医者に嫁いだが離縁。 三度目の離縁の後、幼子を抱えてたいへん
だった又兵衛を助けるために、いとこのおいせが又兵衛の家にやって来て事実婚
のようなかたちとなっていた。 商売を息子に譲り、会所の管理人となって10年。
又兵衛とおいせは、又兵衛の幼馴染で、裏店の大家をつとめる孫右衛門とともに
近隣の人たちのもめごとや悩みに献身的に世話を焼き、問題を解決していく、、、。
著者お得意の人情話。 まっすぐな心根の又兵衛と孫右衛門が、損得抜きで様々な
問題に首を突っ込み、粘り強く事にあたる姿は感動もの。 それを支えるおいせの
心根も美しい。 脇役たちの人物造形も秀逸。 オススメ度:8.2
神田堀八つ下がり (宇江佐 真理著、文春文庫)
作品の紹介
正式タイトルは「河岸の夕映え 神田堀八つ下がり」。
計六編を収録した短編集。 いずれの作品も江戸の河岸が舞台。
質の高い人情話が続くお買い得の一作。 どの作品も長編で読みたいデキ。
「おちゃっぴい」の続編。 「おちゃっぴい」のブックレビューはこちら。
2003年「直木賞」候補作。 オススメ度:8.3
吉原暗黒譚 (誉田 哲也著、文春文庫)
作品の紹介
今村圭吾、38歳。 北町奉行所の臨時廻りの同心として吉原の番所に詰める毎日。
今村は、吉原で続けて三件起こった花魁の惨殺事件を担当。 狐面の一団により
殺害された花魁を預かる女衒の丑三から五百両で事件解決を請け負う。
今村は、くノ一出身で24歳の元花魁、彩音とともに捜査を開始。 しかし今村の親友
で元隠密廻り同心の仙吉も丑三に事件解決を請け負い、今村、彩音の捜査に加わる。
同じころ、浅草寺裏の長屋で暮らす23歳で大工の幸助は、同じ長屋の20歳のおように
恋をする。 おようと夫婦になろうと決意したものの、急に記憶が途切れたり、別人格
となるおようを心配する幸助。 おようの過去が鍵を握ると見た幸助は、10年前、およう
の実家が狐面の盗賊に襲われ、両親が斬殺された過去を知る、、、。
やがて、吉原の事件とおようの過去がひとつにつながり、事件の核心に近づく、、、。
おもしろかったんだけど、犯人がかなり早く予想がついちゃったのが残念、、、。
著者初の時代小説。 とはいえ、最近の作品ではなく、2004年に書き下ろされた
デビュー三作目。 オススメ度:8
千両花嫁 (山本 兼一著、文春文庫)
作品の紹介
正式タイトルは「千両花嫁 とびきり屋見立て帖」。 幕末の京のお話。
京の老舗の茶道具屋「からふね屋」の娘、ゆずと二番番頭の真之介は相思相愛
の仲となり、真之介はゆずの父、善右衛門に許しを請う。 善右衛門は首を縦に
ふらず、「一年以内に千両もってきたら許す」と真之介に無理難題を押し付ける。
真之介はその日のうちに店を辞め、道具屋「とびきり屋」を開く。 商いに精を出し、
約定通り、千両を届けるが、善右衛門は千両を受け取らなかった、、、。
しかたなく、駆け落ち同然に真之介とゆずは祝言をあげる。 二十六歳の真之介、
二十歳のゆず。 新婚の二人は、新撰組の近藤勇、高杉晋作、坂本龍馬たちを
相手に幕末の京で次々と難題を解決していく、、、。
硬派な作品のイメージが強い著者にはめずらしい人情話。
キャラクターが生き生きしているのがいい。 シリーズ化にも納得。
オススメ度:8.3
オサキ江戸へ (高橋 由太著、宝島社文庫)
作品の紹介
正式タイトルは「もののけ本所深川事件帖 オサキ江戸へ」。
深川の献残屋「鵙屋」の主人、安左衛門の命を救ったことがきっかけで、鵙屋で
働き始めた周吉。 五年の奉公の後、やり手の手代として成長し、二十歳になって
いた。 周吉は、妖狐「御先狐」(オサキ)に憑かれた「オサキモチ」。
もともと周吉が持つ特殊な力にオサキの妖力が加われば、様々な難局も切り抜ける
ことができる。 二人の力は商いの面でも、戦いの面でも威力を発揮した。
やがて、安左衛門から一人娘で十七歳のお琴の婿にならないかと頼まれる。
そんな矢先、鵙屋の上得意が殺害され、お琴が行方不明になる。 周吉とオサキは
お琴を探しに夜の町に飛び出すが、、、、、、。
天然の周吉に、クールになりきれない妖、オサキの組み合わせの妙が独特の間合い
で描かれている。 それにしても、時代小説×妖系ミステリーがほんとに増えてきた
なあという印象。 好評につきシリーズ化。 オススメ度:8
旅うなぎ (和田 はつ子著、ハルキ文庫)
作品の紹介
「料理人季蔵捕物控」シリーズの第五作。 表題作を含む四編を収録。
「塩梅屋」の娘、おき玖が幼馴染に求婚されるが、季蔵と北町奉行、烏谷は
おき玖の相手の正体を見抜く、、、。 オススメ度:8.1
時そば (和田 はつ子著、ハルキ文庫)
作品の紹介
「料理人季蔵捕物控」シリーズの第六作。 表題作を含む四編を収録。
元噺家で今は廻船問屋の主、長崎屋五平が毎月行う噺の会で客に供する
料理を季蔵が依頼される。 五平が披露する落語のお題にちなんだ料理
をめぐる巻。 あわせて噺の会に呼ばれている祈祷師と商人の悪行を季蔵
が暴いていく、、、。 オススメ度:8.2
おとぎ菓子 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)
作品の紹介
「料理人季蔵捕物控」シリーズの第七作。 表題作を含む四編を収録。
季蔵が実の弟、堀田成之助と再会。 季蔵は弟の許嫁の店を放火した犯人
と黒幕の捜査に乗り出す、、、。 オススメ度:8.2
へっつい飯 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)
作品の紹介
「料理人季蔵捕物控」シリーズの第八作。 表題作を含む四編を収録。
夏の盛り、塩梅屋では怪談噺と料理を組み合わせた納涼会を開催することに
なり、元噺家の長崎屋五平に怪談噺を依頼。 週に一回の会は盛況のうちに
進んでいく。 季蔵はこの会の裏で三十年前の事件を北町奉行、烏谷とともに
紐解いていく、、、。 オススメ度:8.1
菊花酒 (和田 はつ子著、ハルキ文庫)
作品の紹介
「料理人季蔵捕物控」シリーズの第九作。 表題作を含む四編を収録。
北町奉行、烏谷は内与力の清水佐平次を季蔵に次ぐ密偵とすべく、準備を
進める。 しかし、巨悪が二人の前に立ちふさがる、、、、、、。
オススメ度:8.1
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